Gulliverコメント|加藤智宏(office Perky pat)

二階の住人

渡部氏との出会いは七ツ寺共同スタジオだった。なんの時だったかは忘れたが、二階の事務室でのこと。どうやら、そこに住み込んでいるという。七ツ寺共同スタジオができて来年で50年になるが、その間に二階に住んでいた人は数多くいる。私が同スタジオに出入りし始めた40年前は元小屋主の二村さんが家族で住んでいた。その後、恐山(彼はかなり長くいた)らが入れ替わり暮らし、私の印象では必ず「誰かが居る」場所だった。その住人の一人となった彼だったが、しばらくして上京し万有引力で経験を積む。
さて来年、七ツ寺共同スタジオは50周年を迎える。「二階の住人」だった渡部氏が、半世紀ほど前に同スタジオのこけら落とし公演となった『夢の肉弾三勇士』(作・流山児祥)を演出する。どんな舞台になるのか?『Gulliver―不安の島―』を体験すれば、そこへ向かう想像力は一気に広がる。

加藤智宏(office Perky pat)