超非現実な非日常
音楽の三要素とはもちろんメロディー、リズム、ハーモニーだ。
これはあまり知られていないことですがと言ったら信じろーくんになってしまうが、面倒なことに、このメロディー、リズム、ハーモニーは仲良くない。敵対視しながら仕方なく協力しあって音楽を作っているのだ。ましてこれに歌など入ろうものなら、お互いに必要だとわかっているのに歌詞と三要素とで四つ巴の修羅場となり、拮抗する距離感の中でせめぎ合いを繰り広げるのが音楽なのだ。
同じように芝居と音楽も仲良くない。お互いに邪魔だ煩いと思いながら仕方なく共存して舞台を作り上げている。70年代には多くのロックバンドと劇団が揉めに揉めて喧嘩別れしていったのを目の当たりにしている。頭脳警察はこれは芝居が主役なのだから台詞を立てろ、その代わりコンサートで音楽を盛り上げる寸劇のための劇団を作ろうと「前衛劇団モータープール」という歌を書いた。台詞は唄い、歌は語る、音楽は心の背景でありながら、言葉の矢じりとなって客席を射抜いていく。
酢酸カーミンと体現帝国の組み合わせなど心の奥底で望んでいたものかもしれない。自分もそれなりに芝居と関わってきた。そして頭脳警察でも吹いてくれたルビーとの出会い。これは2021年を迎えた時代の亀裂に深く食い込むクサビとなって記憶に残る事件に違いない。こんな衝撃的な出会いを見逃してなるものか。
つい進撃の巨人とかシン・エヴァが脳裏に浮かぶこの時代、超非現実な非日常を魅せてくれそうなGULLIVER~不安の島、上陸の決行日はもう近い。
PANTA(頭脳警察)