白雪姫 コメント:澤村一間

 
体現帝国’18 in 名古屋 まもなく!

地元ではない面白い劇団を紹介する場合、たいてい以前に見たその劇団の作品の話をして、こんな感じであんな俳優がいて最後に「ナゴヤであまり見かけないタイプのエンゲキ」だと言って褒める。
今回の『白雪姫』で初めて 体現帝国を観る人がいれば、きっと私は同じようにそんな枠でくくって説明すると思う。
そういえば彼らが名古屋で活動していた時代も、良くも悪くもそんな風に紹介していた気がする。同年代の演劇人には珍しい寺山修司的アングラな雰囲気で、当時所属していた女優陣もスキャンダラスな雰囲気があって…と懐かしみ、ふと考える。

この「ナゴヤであまり見かけないタイプのエンゲキ」枠は褒め言葉なのだろうか?

昨年の6月、久しぶりに観劇したイヨネスコの「授業」は、渡部剛己らしい美意識をスパイスに、現代を生きる人間の現在の生きた視点で捉えようとした意欲作だった。
また2016年の夏にが利賀演劇人コンクールで受賞した「班女」。
これはYouTubeでアップロードされているので、体現帝国が未見の方にも、名古屋時代の彼らしか知らない人にもぜひ視聴して欲しい。
 ⇒ 班女 http://watabe-gouki.net/20160730hanjo/

こうやって書き進めていくうちに「ナゴヤであまり見かけないタイプのエンゲキ」はやはり褒め言葉なのだなと思いはじめている。
別の言い方をすれば「唯一無二」。
この劇団でしか味わえない演劇。ただ言い方が大仰すぎて遣うのがこっぱずかしいだけの話だった。

体現帝国の新作『白雪姫』。
私にとって唯一無二の作品として深い衝撃になることを楽しみに、名古屋公演を心待ちにしようと思う。
 

澤村一間(俳優)