白雪姫 試演会コメント:藤井治香

 
童話とは一体なんだろうか。同じようなものとして、昔話やおとぎ話がある。
それらの一つの特徴として、桝田絢子は「『グリム童話』に学ぶもの」の中でヴェーレナ・カーストの著書を引用し「大切なことは、昔話がイメージで語られること」を挙げている。

体現帝国の『白雪姫』試演会も、イメージの舞台であった。
アフタートークで主宰の渡部氏自身が話していたように、試演会では本公演一ヶ月前の段階として、様々な演出を試しており、それら一つ一つの繋がりはまだ検討段階であった。
しかし、それらの試みの一つ一つは大変おもしろく、そして、辻褄の合わない断片的なイメージは夢を思わせた。
先の桝田は夢と昔話の類似性を指摘した心理学者M・Lフォン・フランツの著書を挙げ、「夢はうつろいやすく、断片的なことが多い。それに比べ、たくさんの昔話がそれを補ってくれる。」としている。

試演会が夢だったとすると、本公演はいよいよ童話『白雪姫』が立ち現れてくると言えよう。
本公演ではどんな世界が広がっているのか、とても楽しみである。
 

藤井治香(le 9 juin 主宰)
https://le9juin.tumblr.com